紙幅・ライン速度・最小の欠陥サイズが、ラインスキャンカメラの画素数と1秒あたりのライン数につながる計算を手で追い、速度が変わる区間とIntScan Proのカメラ並列構成までまとめました。
製紙のラインスキャン検査を検討するには、ライン速度・幅・最小欠陥サイズをどのように整理すればよいですか?
ラインスキャン検査装置の構成は、三つの数字でほぼ決まります。紙幅は幅方向の画素数とカメラ台数を、ライン速度は1秒に撮る必要があるライン数を、見つけたい最小の欠陥は1画素の大きさを決めます。三つの値をmmとm/minで、速度は最小と最大を一緒に書いてください。
見積書に書かれたカメラ台数がなぜそうなったのかは、一度手で計算してみると読めるようになります。必要な数字は、紙幅、ライン速度、見つけたい最小の欠陥の三つだけです。
まず原理だけを簡単に押さえます。ラインスキャンカメラのセンサーは、画素が1列にだけ並んでいます。紙が通る間に1ラインを撮り、少し進むと次のラインを撮ってつなぎ合わせ、1枚の画像を作ります。そのため、幅方向の解像度はセンサーの画素数が、流れ方向の解像度は1秒に撮るライン数(ラインレート)とライン速度が決めます。
説明用の例:幅2,000 mmを1画素0.25 mmで見るには、幅方向に8,000画素が必要です。ライン速度が600 m/minなら1秒に10,000 mmが通るので、流れ方向も0.25 mmに合わせるには、1秒に40,000ラインを撮る必要があります。
同じラインで0.1 mmまで見たいなら、数字はどう変わるでしょうか。幅方向20,000画素、1秒に100,000ラインです。画素サイズを半分以下にしただけなのに、幅方向の画素数と1秒あたりのライン数がそれぞれ2.5倍になり、1秒に処理する画素はその積の分、6倍以上に増えます。そのため「最小の欠陥」は、余裕を見てより小さく書くより、本当に取り除く必要があるサイズで書いていただくほうがよいです。実際のカメラの画素数と最大撮影速度は製品ごとに違うので、カメラの仕様と台数はご相談で決めます。
幅方向の画素がカメラ1台で足りなければ、カメラを並べて置き、つなぎ目の区間を重ねて撮ります。IntScan Proは、カメラ1台から5台まで並列につないで一つの幅を検査します。
計算が合っていても、欠陥が1〜2画素にしかかからなければ見逃しやすくなります。背景と区別できる画素が少なすぎるからです。何画素かかれば安定して見つけられるかは、欠陥と背景の明るさの差、欠陥の形によって変わるので、サンプルの撮影で確認します。白い紙の上の黒い異物は数画素でもはっきりしますが、同じサイズの薄い汚れは画素を増やしてもよく現れず、照明から見直す必要があるかもしれません。
この計算を自分で行うのが面倒なら、光学ラボのクイック確認で紙を選び、紙幅と速度、最小の不良を入れてみてください。速度が制約になる条件なら1秒に撮る必要があるライン数とあわせて示し、一般的なラインスキャンカメラでは追いつきにくい条件ならそのように示します。校正前の単純なモデルによる推定なので、実際に可能かどうかはサンプルで確認します。
通常運転の速度だけを書くのでは、半分しか書いていないのと同じです。加速と減速、ロール交換、停止がどれくらいの頻度であるかも教えてください。一定の時間間隔で1ラインずつ撮ると、生産ラインが遅くなったときに画像が縦に伸び、速くなると縮みます。丸い異物が細長いしみのように写る、といった具合です。
そのため、ロールの軸に付けたエンコーダのパルスで紙が動いた距離を測り、同じ距離ごとに1ラインずつ撮る方式がよく使われます。IntScan Proもトリガ・エンコーダと連携し、流れる素材の移動を追いながら撮ります。エンコーダを付けられるロールがあるか、すでに使っているエンコーダの信号を分けて受けられるかを教えてください。
リワインダーのようにロールを替えるたびに止まってまた速度を上げる場所は、この区間が特に長くなります。IntCloud Opticの適用現場に載っている製紙の検査もリワインダー検査で、まだPoC段階です。
紙の種類と色、コーティングの有無によって照明が変わります。紙粉とほこりが多い場所なら、カメラと照明の窓に粉がたまって画像がぼやけることがあるので、清掃しやすい場所かどうかも一緒に見ます。カメラと照明を置くスペースと高さも書いてください。
見つけた後の処理(マーキング・位置の記録・警報)も前もって決めておいてください。製紙工程の欠陥検査の事例の要約も、異物・穴・しわ・汚れをラインスキャンでリアルタイムに検出し、不良を早期に食い止めると書いています。
試験結果の読み方は、見逃し・過検出・処理量の確認方法を参考にしてください。
坪量、厚み、水分のように表面の撮影ではわからない品質項目には、別の測定方法が必要です。上の計算も単位換算を示す例にすぎず、特定の装置の仕様ではありません。計算が合っていても欠陥が見えるとは限らないので、最後の判断はいつもサンプルを撮った画像で行います。